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type U のこれはナニ? [ハードウェア]

こんにちは、担当者 T です。

ここのところソフトウェアやアクセサリーの話題が続いていましたが、今日はちょっと久しぶりにハードウェアのお話を。

type U をご覧いただいたお客様より、「これは何?」とよく聞かれるポイントについて、ちょっと解説したいと思います。

まずはこれ、本体上部についている、黒い出っ張り。最もご質問を受けるポイントです。
鋭い方はもうお気づきかと思いますが、ここにはアンテナが入っています。左右にちょうど半分ずつという形で、ワイヤレス LAN と Bluetooth のアンテナが内蔵されています。
type U の背面シャシーには、筐体の軽量化と強度確保の両立を目的に、長繊維カーボン入りの樹脂モールドが使われています。一方で、カーボンは電波遮断性があるため、本体にアンテナを内蔵してしまうとワイヤレス LAN と Bluetooth の感度が極端に落ちてしまうという難点があります。そこで、それを解決するために、本体上部に通常の(電波を通す)樹脂パーツを使ってアンテナカバーとする、という工夫をしています。本体の最も高い位置にアンテナがあるため、他の場所に配置するより微妙に感度が良くなる・・・ということもあるかもしれません。

続いて、液晶裏面にあるこの孔。スピーカーやマイクのようにも見えますが、これも意外とご質問を受けるポイントだったりします。
この孔ですが、表面のちょうど同じ位置(指紋センサーの左隣)にスピーカーがついており、そのままでは低音が中で篭ってしまうため、この孔を使って空気を抜くことで、音の「ヌケ」が良くなっています。「バスレフ型」と呼べるほどのものでもないですが、容積が小さいながらにできる限りいい音にしよう、という工夫です。

三つめは、本体周囲や背面のいたるところに空けられたスリット。レーシングカーのようにシャシーの肉を抜いて極限まで軽量化を図っている・・・わけではなくて、これらのスリットを利用して積極的に吸排気を行っています。

この吸排気の仕組みですが、排気は本体上面のスリットからのみ行い、吸気をそれ以外の全てのスリットから行うように設計されています。「モバイルグリップ・スタイル」でボディ全体を包みこむようにして使うスタイルだから、熱い排気が身体に触れないよう、排気は上面から行うしかなかったという都合によるものですが、それ以外の部分からは最大限に空気を取りこんで吸排気を行えるよう、可能な限りのところにスリットを設けた、というわけです。

この吸排気の仕組みは、具体的に図示すると上のようになっています。
一般的に、筐体が小さく放熱設計がシビアになるモバイル PC では、マグネシウムなどの素材で作られたボディにも積極的に熱を逃がし、ボディ全体で放熱を処理するやり方が半ば常識となっていますが、ボディ全体を手で持って使う type U ではその考え方が通用しません。
長時間使っていても本体が「熱い」と感じることはまずないと思いますが、内部のフレームとボディとの接続箇所を最小限にして極力ボディに熱が伝わらないような構造、言ってみれば熱をボディの奥に閉じこめるようなつくりになっています。このことは「開発者に聞く」でも言及されていますが、type U の排熱は、熱を発散させるのではなく逆に一点に集中させて、それを排気ファンによって外に出すことで成り立っています。
こうして、本体の内部構造が筐体から「浮いている」ような状態を作ることで、type U は結果的に外部からの振動や衝撃が内部に伝わりにくいという特長も兼ね備えています。

このように、歴代の VAIO の中でも最も小さいボディを持つ type U の、さらに細かいひとつひとつの部分に関しても、掘り下げればこれだけのこだわりが詰まっている・・・ということを、今回のエントリーを通じて感じ取っていただければ幸いです。


2006-06-06 20:10  nice!(11)  トラックバック(3) 
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